出版社:日経BP 著者:みんなの銀行
発行:2023年03月
「石橋を叩いても渡らない」と評される保守的な経営を旨とする銀行が、「日本初」のデジタルバンク「みんなの銀行」を誕生させた軌跡を記した本である。地銀グループというバックグラウンドは持ちつつも、商品・サービス、システム、業務プロセス等、すべてをゼロベースから設計・構築した同社は、スタートアップ・ベンチャーであると言えよう。トップの意向を受けてのプロジェクト立ち上げではあったものの、会社という形にする迄の苦闘とも言える奮闘ぶりが赤裸々に綴られている。「新しい銀行を立ち上げる」ような壮大なプロジェクトに携わる機会はそうないかと思うが、『「イノベーションのジレンマ」に陥っている読者への提言』の中には経験者だからこそ言える、役に立つ小さなヒントが散りばめられている。「小さく、早く始める事」や、「目指すビジネスを定義し、人、組織、カルチャーを作る事」は、すぐに取り組めるであろう。九州の老舗とも言える企業から生まれた新しい会社の成長を応援したくなる1冊。
BIZCOLI 近藤孝子
表紙は日経BPサイトから引用