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ペスト大流行 ヨーロッパ中世の崩壊

2020.5.15

出版社:岩波書店  著:村上陽一郎

発行:1983年03月

 人と病との闘いは、古くから繰り返されてきた。天然痘やチフス、コレラ、結核などがあるが、代表格はペストである。ペストは、紀元前から流行の記録が残されており、14世紀にヨーロッパで大流行した際には3000万人近くが命を落としたと言われる。本書では、当時の記録を基に、中性ヨーロッパにおけるペスト流行の実態や、混乱する人々、病因に関する論争などがまとめられており、時代は違えども同様の動きが見受けられることがわかる。ペスト流行後の社会変動については、人口減少に伴う荘園制度の崩壊や、学問の衰退、信仰の回復などが挙げられるが、それらはペストがきっかけとなって加速化した動きであり、ペストがもたらしたものではないと言及されている。今回のコロナウイルス感染拡大を機に、ニューノーマル(新常態)の始まりが予測されるが、短期間に起こる様々な変化に人はどのように対処できるのか、改めて考えるきっかけとなる1冊である。

事業開発部次長 平田エマ

表紙は岩波書店サイトから引用

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