出版社:KADOKAWA ファラデー著
発行:2012年06月
2019年ノーベル化学賞を受賞された吉野彰氏(旭化成名誉フェロー)が「化学への興味を持つ原点」と紹介された事で話題となった名著。
ファラデーと言えば電磁誘導の発見や、電解物質における『ファラデーの法則』の発見が有名であるが、本書の内容は1861年末のクリスマス休暇にロンドンの王立研究所で催された講演の記録である。講演当時、70歳のファラデーは自らを「若者」と記し、近しい人に話しかけるのと変わらない親しさで「おしゃべり」を進めている。それは、ファラデーが貧しい鍛冶屋に生を受け、自身の努力と、周囲の人々の好意の積み重ねで科学者となった経歴と無縁ではなく、今は科学と接点がない人にでも、ロウソクという身近な素材を題材に、科学の楽しさ、不思議さ、深遠さをわかりやすく語りかけている。子どもに読ませたい本として脚光を浴びている本書であるが、大人も手に取ってほしい1冊である。
BIZCOLI 近藤孝子
表紙はKADOKAWAサイトから引用