出版社：ＫＡＤＯＫＡＷＡ 著者：佐々木望
発行：2023年03月
｢親ガチャ｣という言葉がある。個人的には好きではないが、東大生の親の6割以上が年収950万円以上という事実を聞くと、子どもの学歴は親の収入に左右されることが多いと言えるだろう※。ただし、これは学費を親が捻出することが前提となっている。社会人になったのち自らが学費を払い、自らが学ぶという選択肢もあるだろう。
本書は、声優として活躍する著者が40代半ばで一念発起して学び直し、東京大学に合格したときの記録である。資格試験や昇進試験は別として、社会人の学びは締め切りがない。ましてや本業に役立つ目的で受験を思い立ったわけではない著者なので、いつ辞めても支障がない。規制がない中での卒業までの日々は、さぞや大変な毎日かと思われる二足の草鞋生活だが、本書からは、学ぶ楽しさのみが伝わってくる。
自分の時間を、気力を、体力を、お金を、情熱を、それらを振り向ける先を、いつも自分で決められるわけではない。限られたリソースを何処にどれだけ費やすか、勉強に限らず仕事でも、私生活でも大人は自分で考え、最適解を見つけていくのではないだろうか。読了後、何かを学びたくなる一冊。
BIZCOLI 近藤孝子
表紙はＫＡＤＯＫＡＷＡサイトから引用
