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建築と触覚 空間と五感をめぐる哲学

2023.5.10

出版社:草思社  著者:ユハニ・パッラスマー 訳:百合田香織

発行:2022年12月

「触覚」について今から話すよ、と本が語りかけるような独特の手触りが、シンプルな装幀と共に本書を印象づける。現代のフィンランドを代表する建築家、建築思想家であるパッラスマー氏が手がけた本書は、視覚偏重の現代において、建築における視覚以外の感覚-触覚・聴覚・味覚・嗅覚の重要性を再考したものである。原題「The eyes of the skin」というタイトルは、世界の経験と理解における触覚の重要性を表現したいという思いを込めて選ばれたという。読み進めるとすぐに、建築に留まらず、哲学・美術をも網羅した著者の豊かな知性を享受できると気がつくであろう。理論家ではなく実務建築家である著者が執筆した本書は、邦訳は昨年であるものの、建築論における古典となり、世界中の多くの建築学科で必読書とされてきた。天神ビッグバンをはじめ、福岡都心部で再開発が進む昨今、変わりゆく街並みを眺めながら建築物に想いを馳せてみては如何だろう。

BIZCOLI 近藤孝子

表紙は草思社サイトから引用

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