出版社:祥伝社 吉田秀樹+歴史とみなと研究会著
発行:2018年03月
幕末から明治維新にかけての日本の近代化と「港」の関係について触れる人は少ないという。しかし、幕末期に貿易を前提として開港された函館、長崎、横浜、神戸、新潟という「開港5港」は、西洋船舶が入港可能な近代港湾として整備され、以降、第二次世界大戦後の臨海工業地帯とセットになった港湾開発は、日本の経済発展を後押ししてきた。そのような日本の港の過去を振り返ると、四方を海に囲まれた日本において、外国との交流、遠隔地との輸送には必ず港が使われただけでなく、内陸間でも、湖や川を介した移動で港が人と物の結節点であり続けたことがわかる。本書では、日本の歴史の流れに沿ったテーマ毎に港と日本史との関係性がまとめられている。現代の姿を見聞きしたことのある港であるが、その歴史を紐解くと、過去と現在が密接に関わっている面も多く、改めて訪れて過去と現在を噛みしめて眺めてみたいという気分にさせてくれる1冊である。
事業開発部次長 平田エマ
表紙は祥伝社サイトから引用