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熱湯経営「大組織病」に勝つ

2009.12.26

出版社:文藝春秋 著者:樋口武男

発行:2007年8月

1兆円企業・大和ハウス工業は、TVコマーシャルでもお馴染みであり、ご本人も現職の会長として、TV番組に出演されることもある樋口武男氏は、今日現在もグループ62社を率いる稀代の事業家の一人であります。本書はその樋口会長が、グループ企業の社長を経て、大和ハウス工業の社長就任後数々の改革を通じて、就任2年後の2003年4月に2,100億円の特別損失を一括処理しながらも、その後V字回復を成し遂げられ業界トップを維持して居られる、その手法、意気込みを、数々の実体験を元に、詳細にかつ面白く語られた好著であります。
昨年のリーマンショックを期に、世界の産業・経済は大きな変革を迎えつつあり、各企業は新たな事業、新たな販売手法を模索しているところであります。しかしながら、どのような産業構造や事業環境に変わろうとも、企業や事業の根幹は現場にあり、また顧客の満足度に支えられる事は議論を待ちません。樋口会長は正にその視点に立った経営を、数々の経験や努力によって若くして体得されますが、幾多の苦境や苦難を乗り越えてこられた、その実体験や意気込みを生の言葉で語られており、自然に読者の中に入ってくる説得力があります。樋口会長は、大和ハウスの創業者 故石橋信夫オーナーを人生の師として仰ぎ、師によって与えられた試練やしごきにより、数多くのことを学んでこられた訳ですが、ここでも各企業の大きな課題である人材育成が語られており、我々が企業人として、次代を担う若者を育てる時の心構えを教えられるのであります。
樋口会長の経営を“破天荒”、と捉える向きもありますが、本書を読了しますと、現在の多くの企業や社員が陥りつつある、“大組織病”や“ぬるま湯”経営を脱却するために、樋口会長の“熱湯経営”はその確実な手法の最たるものと納得でき、若手サラリーマンやこれから社会に出ようとする若者、または事業家を目指す中間管理職にも、最も勧めたい一冊であると確信しております。

評者:株式会社安川電機 取締役社長 利島康司

引用:表紙は文藝春秋BOOKSサイトから引用

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