正倉院宝物とは、奈良・東大寺の正倉に伝えられた約九千件におよぶ品々です。聖武天皇ゆかりの品をはじめ、その多くが奈良時代の作で、西域や唐代の中国からもたらされた国際色豊かな品々も含まれます。
正倉院宝物の模造製作は、明治時代から始まりました。現在、宮内庁正倉院事務所が主導する復元模造事業では、形はもちろん、同じ材料、同じ技法で当初の姿を再現する「再現模造」が製作されています。
セミナーでは、本展に出陳される正倉院宝物模造の逸品から天平の美と技をご紹介しつつ、文化財を守り伝えるための模造製作の歴史やそれを支える伝統技術についてお話しいたします。